「判官びいき」で,金持ちには冷たい

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筆者から聞いた話なのですが,日本のストック・オプション制度に関する税制には,当事者にとっては納得のいかない内容がいろいろとあるようです.

例えば,ストック・オプションの制度を行使して自社株を大量購入し,その後,株が暴落すると,税金を払えなくなってしまったりするらしいです(参考:「ストックオプション制度の落とし穴」など).

税金を払えないと,延滞税がかかるそうです(年14.6%).さらに納付が遅れると,家や土地,自動車などが差し押さえられるようです(参考:「税務Q&A」).普通,法人税だったら,利益が出ていないとかかりませんよね.所得税も,給与や賞与などの所得に応じてかかるはずだし,不動産取得時の税金なども,不動産そのものの価値よりは少額のはずです(取得時価額と,現在の時価総額などで差額はあるかもしれませんが…).だから,普通,「税金を払いたくても払えない」という状況は発生しにくいはずで,それでも「払えない」人には,何らかの救済策があってしかるべきとは思うのですが….

でも,結局は,そんな大金に縁のない庶民としては,「ひとごと」なんですよね.それも,お金がなくてカワイソウな人なんだったら同情の声もたくさん集まるでしょうが,

「え? ベンチャ企業で急成長? よかったじゃない.大暴落? ふーん,運が悪かったんだね.でも,私には関係ないから」

と思ってしまっているような気がします.
 私の地元でも,大地主であるお父さんが亡くなって,相続税を払うために,高大な土地を野村不動産に売却した話を知っています.当初,その土地は,学校用地として市が買い上げる予定だったそうなのですが,市が提示した購入価格と野村不動産の購入価格に大きな差があり,ばく大な相続税を払う必要もあったため,野村不動産に売ったそうで….
 その売却地には雑木林があって,タヌキなども住んでいるという噂の,住宅地の中の自然のオアシスでした.どうせなら大規模マンションよりも,市に公園か何かにしてほしかった….上記の話を聞いたとき,私にも,地主の相続税のことを同情する気持ちよりも,やっぱり,「どうせ相続税なんて,それなりの財産がある家にだけ関係のある話でしょ.うちなんて関係ないもんね~」という「ひとごと意識」がありました.

判官びいきはやりやすいけれど,このせちがらい世の中,「持てる者」までを擁護するような広い心を持つのは,なかなか難しいです….
身近な人に不運が訪れて,初めて気づくことなのかもしれません.自戒を込めて.

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このページは、(志)が2007年3月22日 14:35に書いたブログ記事です。

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