DRAMをどう使うか? ――性能の改善技術とその性能を生かす選択方法
2.JEDEC標準DRAM仕様の概要
ここでは,主に情報処理機器市場で用いられるJEDEC標準のDRAM仕様の変遷について述べます.
●JEDEC標準はワイド・バス指向
JEDEC標準の主なDRAMを以下に挙げます.
- EDO(extended data out)DRAM
- SDR SDRAM
- DDR-I SDRAM
- DDR-II SDRAM
これらのDRAMは,メモリ・システムのバス幅が64ビットや72ビットのワイド・バスで用いられることを前提としています(図6).これはJEDEC標準の策定に主導的役割を演じてきたワークステーションやサーバのメーカの意向に添うものといえます.
情報処理機器ではエラー訂正(ECC)注2に対応する必要があります.このため,72ビット幅のECC付きのワイド・バス指向や,Chip Kill対応(機器中のDRAMの一つが不良でも,機器の誤動作を回避するための機能)としてデータ・ポート数最小の構成(×4)を持ったDRAM単品仕様が必須です.Chip Kill対応のモジュールはECC対応なので,×4の構成のDRAMを18個搭載することになります.
注2;データ・バス幅がNビットの場合,ECCのチェック・ビット数はlog2N+2で求められる.つまり,バス幅が64ビットのときは,エラー訂正用ビットとして8ビットが必要になる.
〔図6〕ワイド・バス指向
複数のDRAMを同時に動作させて64ビットや72ビットのデータを一度に得る方式をワイド・バスと呼ぶ.JEDEC標準のDRAMはこの方式を前提にしている.一方,バス上の1個のDRAMのみを動作させて16ビットや18ビットのデータを得る方式をナロー・バスと呼ぶ.Rambusシステムがその代表例.