DRAMをどう使うか? ――性能の改善技術とその性能を生かす選択方法
●リーク電流を削減する
DRAMを低電圧で高速動作させるためには,トランジスタのスレッショルド電圧を電源電圧に比例して低下させる必要があります.ところが,スレッショルド電圧をある値以下に低下させると,トランジスタのリーク電流が顕在化します.低電圧化によってリーク電流が増大するため,モバイル機器用DRAMを中心に電流削減に新たな手法が用いられ始めています.その1例が,データ保護のためのリフレッシュ動作すら行わず,メモリ・アレイ全体の電源供給を切ってしまう特別な動作モードでリーク電流を削減するという手法です(図15(c)).
●DRAMのtREF特性を利用して電流を削減する
セルのデータ保持特性は温度によって大きく変わります.おおむね10℃の温度上昇で保持時間は60%に減少します.したがってtREFの値は,DRAMがもっとも高温となった状態が最悪であり,逆に温度が低ければtREFは最悪値より延長できます.例えば,周囲温度(Ambient
Temperature;Taと略記)が70℃でtREF=64msの場合,Ta=40℃ならばtREFは約300msでもよいことになります.この特性を利用すれば,リフレッシュ動作の頻度を下げて消費電力を削減できることになります.モバイル機器用DRAMにはこうした電流削減策が用いられます(図16,表2).
Ta=85℃ | Ta=70℃ | Ta=45℃ | ||
128Mビット(全ビット・リフレッシュ時) |
600μA
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350μA
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200μA
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部分リフレッシュ(2バンク) |
500μA
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250μA
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150μA
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部分リフレッシュ(1バンク) |
430μA
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180μA
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100μA
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部分リフレッシュ(1/2バンク) |
370μA
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120μA
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80μA
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部分リフレッシュ(1/4バンク) |
340μA
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90μA
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70μA
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