DRAMをどう使うか? ――性能の改善技術とその性能を生かす選択方法
●システムとの親和性を高める手法―疑似SRAM化
モバイル機器などの小規模システムでは,CPUに直結するためにDRAMコアとSRAMインターフェースを組み合わせて用いる場合があります.これらは16Mビット~256Mビットの容量領域でSRAMを代替するもので,「疑似SRAM」と呼びます.
疑似SRAMの仕様のポイントは,DRAM特有のリフレッシュ動作をいかに外部から見えなくするかという点にあります.疑似SRAMのリフレッシュ動作は,内部タイマによって非同期に行われるので,メモリ・アクセス動作とリフレッシュ動作の競合が発生し,その際のメモリ・アクセス時間は不定となります.これを避けるための手法として,モバイル機器用の疑似SRAMでは,動作時間内にあらかじめリフレッシュ専用の時間帯を確保しておく方法があります.メモリ・アクセスの際にリフレッシュ要求が存在した場合には,その時間帯にリフレッシュ動作を埋め込むことで外部からはリフレッシュ動作がまったく見えない形の疑似SRAM動作が可能となります.メモリ・アクセスの際にリフレッシュ要求がない場合,その時間帯は単なる待ち時間となります.