DRAMをどう使うか? ――性能の改善技術とその性能を生かす選択方法
4.通信用メモリはランダム・アクセスに対応する
パソコンの場合と異なり,サーバなどの通信インフラ機器では,アクセスされる領域のランダム性が高いという特徴があります.そのため,メモリ・アクセス動作後は,次のアクセスが近傍であるか否かを判断せずに,自動的にプリチャージ動作を始められます.この場合,プリチャージ命令の入力時間を削除できるので,次々とアドレス・コマンドを入力することにより間断のないアクセスのパイプライン化(メモリ性能の向上)を実現できます.さらに,アドレスを1クロック・エッジで入力するnon-multiplexedアドレスを採用したり,あるいは行アドレスのビット数を汎用品に比べて大幅に増やすことでセグメント指定を細分化し,アクセス時の活性化領域を小さくして高速性と低消費電流を同時に実現します.
これらの手法を取り入れた製品がFCRAM(Fast Cycle RAM)やNetwork DRAM,あるいはRLRAM(Reduced Latency RAM)などの通信インフラ用DRAMです.ただし,これらはピン数の増大,高セグメント化による内部配線領域の増大といった課題を抱えています.FCRAMは現在世界最高速のスーパ・コンピュータである地球シミュレータにも用いられています.RLRAMでは,DRAM内部のバンクを順次アクセスするという制限付きのパイプライン動作のもとで性能向上が図られています.