キャリア・パスをイメージしてスキル・アップを図ろう ――楽しくしごとをして人生を有意義に過ごす
2 自分の未来とキャリア・パスをイメージしよう
理系の学校を出て,会社で組み込みソフトウェアやメカトロニクス・システム開発に携わっている人々は,筆者の知っている範囲でもさまざまなキャリアを経て現在に至っています.
- 普通に会社に勤め,地道に20年以上の間プログラムを作り続けている人
- 大学卒業後にメカトロニクス装置を作る小さな会社に勤めて,ユニークな装置の開発に長いこと携わっている人
- 航空工学を勉強したが,どうしたわけか自動車の制御ソフトウェア開発が自分のライフワークになってしまった人
- ソフトウェア工学のコンサルティング会社で腕を上げて独立し,LEGOのおもちゃ注4を作っては顧客を教育している人
- 8ビット・マイコンや16ビット・マイコンを使うFA(factory automation;コンピュータ制御による工場の自動化)機器などのソフトウェア開発がしごとだが,自分が楽をしたくてMDA(model driven architecture;モデル駆動型アーキテクチャ)のしくみを自分で開発してそれを売り始めた人
- 中学生のころからマイコンが好きで,プログラム作りに気合いが入り就職.コンピュータを設計していたが,やがて大学の先生になった人
- 物理学を勉強して研究所の研究員になり,やがて解析ソフトウェアのコンサルタントとして独立した人
- やりたいことも特になく,ひたすら遊びを追求した結果,しごとと遊びの区別がつかないしごとが本職になった人
こうしてみると,メカトロニクス・ソフトウェア技術者のキャリアというのは,あまりまとまったものではありません.それでも学校を出てからいきなりシステム設計者やコンサルタントにはなれないわけで,ある程度のキャリア・パス(職業の進路)のようなものがあります.これを図にしてみました(図4).
注4;デンマークLEGO社は,レゴ・ブロックにマイコンを搭載したおもちゃ「LEGO MINDSTORMS」を発売している.自分で作ったプログラムを転送し,組み上げたレゴ・ブロックを実際に動かすことができる.
図4 メカトロニクス・ソフトウェア技術者のキャリア・パス
筆者の知るメカトロニクス・ソフトウェア関係者のキャリア・パスを技術の視点で図示してみた.普通は,プログラマまたはテスタからスタートする.