キャリア・パスをイメージしてスキル・アップを図ろう ――楽しくしごとをして人生を有意義に過ごす
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◆ハードウェアということばが指す範囲◆
業務用ソフトウェアやパソコンの業界の人にとって,ハードウェアとは,コンピュータ本体や拡張ディスク,モデムなどを意味します.システム開発の提案書には,「××社製のこれくらいの容量・性能のハードウェアを設置します」などと記述されているのが普通です.
最近のLSI(large scale integrated circuit)の中にはCPUコアがいくつも入るようになったので,ハードウェア(回路)の開発と組み込みソフトウェア(ファームウェアと呼ばれることが多い)の開発を並行して行うことが増えています.このようなLSIを開発する専門家にとって,ハードウェアとはディジタル回路を指します.さらに,同じエレクトロニクスの分野でも,ディジタル回路とアナログ回路の両方を扱う人にとっては,ハードウェアとは電子回路全体を指します.
メカトロニクス・システムの世界では,ハードウェアということばが,機構,流体,電子回路などのすべてを指します.空間的な広がりを考えると,10-6m,すなわち1μmのMEMS(micro electro mechanical systems;微小電子機械システム)から105~106m,すなわち100km~ 1,000kmのITS(intelligent transport systems;高度道路交通システム)までが連携する時代になりつつあります.そして,電子的にはディジタル回路もアナログ回路も必要になります.この領域の広さゆえに,なかなか体系的にメカトロニクス・システム開発を推進できないという問題があるものの,それが技術的なおもしろみにもつながっています.