キャリア・パスをイメージしてスキル・アップを図ろう ――楽しくしごとをして人生を有意義に過ごす
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◆分業に甘んじず,知識を広く持とう◆
メカトロニクス・ソフトウェア担当者のしごとの範ちゅうは,個々の会社や開発対象などによってかなり変わってきます.大規模システムの開発では作業総量が多いので,分業という開発方式をとることになります.機構系の設計者にとっては,プログラムを組むしごとは分業してほかの人に任せるのが普通です.ソフトウェア開発者から見れば,自分が作るべきはプログラムであって,真空整形の金型の知識は自分の人生とは無縁のものとなります.
しかし,規模が小さいシステムの開発では,事情が違ってきます.人もいない,資金もないという状態で開発を進める必要があるため,自分でアルミの箱に穴を開け,基板にLSIを載せてはんだ付けし,モータを取り付け,ソフトウェアを書いて動かしてみるといったことがあたりまえです.それどころか,作ったものの代金の受け取りまで同じスタッフが担当する場合もあるわけです.
ここでたいせつなことは,できることなら,できる限り多くの役割を経験しておくことです.少なくとも次の二つの領域は,自分の専門分野と同じくらい重要だと思ったほうがよいでしょう.
- 最終的なメカトロニクス応用領域に関する知識
- 自分が担当するしごとに隣接する領域(自分がファームウェア担当ならば,品質保証のしごとや電子回路設計のしごとなど)
これらが理解できるようになると,自分のしごとのどの部分が周りの人のしごとに直接影響を与えるのかがわかり,他部門との会議が楽しくなります(普通,他部門との会議は退屈でつまらないものである).