キャリア・パスをイメージしてスキル・アップを図ろう ――楽しくしごとをして人生を有意義に過ごす
● 第4段階:しごとを見つける,問題を提起する
さて,メカトロニクス・ソフトウェアの担当者としていくつか開発経験を積むと,しだいにソフトウェアの作りかた自体に目が向いてくるものです.この理由はいくつかあります.
- 何度も似たようなプログラムを作ってきて,めんどくさいと感じ始める
- 何回も同じ失敗をして,次こそはやりかたを変えたいと思うようになる
- 今まで出荷はできたが,品質に満足できない
- 次のシリーズの製品に対応するソフトウェアが作れるかわからなくて不安になる
- もっと自由度の高いソフトウェアを作る方法を探したくなった
こうした結果は,ソフトウェアばかりでなく,どの分野でも発生するものです.人間には同じものから共通点を探してまとめる能力が備わっていて,その力が無意識に働くと上記のような思いがわくしかけになっているようです.
では,このときに何をしたらよいのでしょうか? これには難しい問題があり,一概には言えません.少なくとも,こうした悩みは,開発に用いるプログラミング言語を変えるとか,CPUを64ビットにするなどという方法では解決しません.皆さんがこの悩みを抱えるころには,今の時点で適切と思える方法はすでに忘れられていることもあるでしょうから,本稿で具体的な説明は行いません.ただし,一つの示唆として,もし皆さんがこうした悩みを持ちつつもメカトロニクス・システムのソフトウェア面で一流を目指すならば,例えば『IEEE Software』(2)などの英文雑誌を読む,または『SCIENTIFIC AMERICAN』(3)のコンピュータ関係の特集を拾い読みするなどの努力を続けることをお勧めします.10年後,悩み始めたころに,かならず役に立つはずです.