キャリア・パスをイメージしてスキル・アップを図ろう ――楽しくしごとをして人生を有意義に過ごす
さらに,読んでおくように言われた文書は,確実に読み込んで理解すること.あたりまえのように聞こえるかもしれませんが,日常生活では,こうした作業は手抜きするのが普通です.
例1)手を抜いてもよいこと,いけないこと
例えば,みなさんは電車に乗るときに行き先を確認して乗ることがどのくらいありますか? 日常の通勤通学でそれをすることはほとんどないはずです.なぜなら,それは手を抜いても問題にならない作業だからです.しかし,初めて乗る路線ならあちこちの標識をよく見て多重にチェックして乗りますね?なぜなら,注意深くしないとまちがえると知っているからです.会社では,この後者を手早く確実に実践することを,当然のこととして求められます.
例2)隠された前提条件を知る
ビルの工事現場で「危険だから周囲に気を配れ」と言われて,左右しか見ない人は危ないですね.危険は上から落ちてくるかもしれません(図6).人が何かを言うときには,かならずその人の知識や前提に基づいて表現や用語を選びます.初対面であれば,聞き手がこの前提を知らないことはあたりまえでしょう.それでも「周囲に」の意図を「左右だけ」とかってに解釈して足元のマンホールに気づきそこねたとき,損をするのは自分なのです.この意味で,相手の言わんとするところを正確に理解することは,一人前の技術者としての重要なスキルになります.
図6 危険は上から落ちてくるかもしれない