無線ネットワーク設計の考え方 ―― アクティブRFIDタグを用いて無線システムを構築するには
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クロック,時計,同期
マイコンやコンピュータに精通した読者の皆さんにとって,CPUやディジタル回路の「クロック」はおなじみでしょう.また,「時計」も身の回りにある見慣れた存在です.単純な直訳では,両者は同じ意味に扱われますが,実際の用途に照らすと,同義ではありません.「クロック」は,一定間隔に発生する信号列ですから,時間(1時間や1分間)を定義するものです.一方,「時計」は,時間を定義した上で,さらに,絶対時刻(例えば12時34分)を定義するものと言えます.
当然ながら,本稿の話題の中心であるRFIDタグは,データのパラメータとして「時計」機能が必要です.時刻情報の付与をデータ収集サーバで行う方法もありますが,リーダがなくても機能するアクティブRFIDタグにとっては,タグ自体に「時計」機能を持たせる方が便利です.さらに,データや処理が分散したシステムが効率的に機能するには,タグを含めたすべての構成要素が同期していることが望まれます(図A).このことは,ユビキタス・ネットワーク社会では,あらゆるものが同期して動く!?という可能性を示唆しています.