無線ネットワーク設計の考え方 ―― アクティブRFIDタグを用いて無線システムを構築するには
RFIDタグは,一見,情報端末やモバイル機器のさらなる小型版と見られがちですが,実は大きな違いがあります.モバイル機器は「人間が操作する」のが大前提の機器ですが,RFIDタグは基本的に自律的に動作する機器です.つまり,RFIDタグそのものが単なる情報端末としてではなく,情報世界の入力機器として存在しているのです.
● 読み取り距離と時間・空間情報の付帯が課題
物を管理しようとする場合,すべての物にRFIDタグを付けてしまうのが極めて単純な方法です.しかし,この方法では現在の通信インフラのデータ処理能力が足りなくなる恐れがあります.タグそのもののコストの問題とともに,いわゆる「個品」へのタグ装着の普及が遅れている要因になっています.
また,現在普及しているRFIDタグは,リーダにかざさないと作動しないタイプが主流です.そのため,読み取り距離が大きな問題になっています.
さらにもう一つ問題があります.RFIDの基本機能であるIDの記憶と伝達においては,ID(データ)の情報のみが取り扱い対象となります.しかし,現実世界にあるそれぞれの情報には,「ユビキタス・ネットワーク」が対象としていた時間・空間情報をはじめ,いろいろなパラメータが付帯して初めて意味を持つ場合がほとんどです.これらの付帯情報を扱えないことが,場合によっては大きな問題となってきます.この問題については,後で述べます.