無線ネットワーク設計の考え方 ―― アクティブRFIDタグを用いて無線システムを構築するには
● タグの取り違えは物や人の入れ替えを意味する
RFIDタグ・システムにおいて,システム上のIDの登録・抹消は,すなわち,現実世界の存在そのものを決定づけることになります(図3).通常の情報管理においては,扱うデータはあくまでも情報世界の中だけで完結している場合が多いのですが,RFIDタグ・システムにおいては,キー・パーツであるRFIDタグのデータそのものが,そのまま現実世界の存在を意味することになり,二つの世界にまたがって影響を与えます.このため,RFIDタグのトレースだけでなく,RFIDタグのIDと対応させることの意味はとても重要です.さらに,運用時に,せっかく対象物にIDをひも付けしても,タグと対象物が離れてしまっては意味がありません.従って,運用時には,タグ(情報)と対象物をいかに密接に結び付けておくかが重要となります.
もちろん,タグの取り違えなどはもってのほかです.タグの取り違えは現実世界では簡単に起こりうることですが,情報世界では,対象物である物や人そのものの入れ替えを意味します.例えば,Aという人がタグを取り違えただけで,突然Bという別人物にすり替わってしまいます.