無線ネットワーク設計の考え方 ―― アクティブRFIDタグを用いて無線システムを構築するには
● 片方向通信ではフィードバック系が組めない
最近の情報通信では,双方向通信が当たり前になっています.しかし,アクティブRFIDタグの世界では,まだ「タグ」から「リーダ」への片方向通信である場合が多く,この制限を理解した上で,必要なシステムを構築する必要があります.片方向通信ではフィードバック・システムが組めないので,システム動作が発散し,設計時に想定していない事態に陥る可能性があります.あらゆる場面を想定して,システムの安定稼働を図ることが必要です.
● 無線で発信される個人情報を守る必要がある
昨今の個人情報の保護や情報セキュリティへの関心の高まりは,アクティブRFIDタグ・システムの開発と無関係ではありません.周囲に無作為に発信する無線を使っている以上,不特定多数の人がその電波を傍受できるので,セキュリティ対策は必要不可欠です.具体的には,信号の暗号化や可変IDなどで対応しています.さらに,技術面だけでなく運用面でも注意が必要です.システムの組み方によっては,IDと個人が1対1でひも付けされます.こうなると,それに付帯する情報の取り扱い次第では,個人情報に相当する情報が無線で送信されることになります.アクティブRFIDタグ・システムの情報セキュリティは,タグ・システムそのものの技術課題というだけではなく,システム構築段階や運用段階でも十分な配慮が必要です.