パソコン周りのケーブル追放を目指すCertified Wireless USBの動向 ―― USBはWireless USBに置き換わるか?
● さまざまなUWB規格が市場の混乱を招くかも?
このようにUWBは複数の伝送方式を提唱・推進する動きがある中で,「搬送波・広帯域変調を用いた近距離高速通信が可能な無線技術」であるため,IEEE 802.15.3aとして規格化が進められました.しかし,諸事情により,2006年1月の会議でその策定を放棄したため,一本化されなくなりました.これにより,それぞれの方式を提唱する団体が業界標準化を目指して活動を行うことになり,場合によっては市場での混乱を招く恐れもあります.
このまま放置すれば,「早いもの勝ち」的状況に陥ってしまいます.先に市場にたくさん製品を出荷したものの勝ち,というかつて某通信規格で体験した「互換性」の問題が将来起こるのではないかと容易に想像できます.このようなことだけは避けてほしいものです.
面白いことに「WirelessUSB」というCypress Semi-conductor社が提唱している2.4GHz帯(ISMバンド)を使用する規格も存在します.これは「Wireless USB」と全く別の規格で,主に入力デバイス(マウスやキーボード)向けに設計されています.BELKIN社,Logitec社,Virtual社などが市場に対応製品を提供しています.これらの製品は,おそらく「ワイヤレス・マウス」として認知されながら市場に広がっていることと思われます.