機器認証やクーポン,スタンプ・ラリーなど,NFCの新しい用途を提案する実演に注目 ―― 第2回 NFC&Smart WORLD 2013
2013年3月5日~8日の4日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,近距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」についての専門展示会「第2回 NFC&Smart WORLD 2013」が開催された(写真1).これは,街づくり・店づくりのための総合展示会である「日経メッセ 街づくり・店づくり総合展」の一つとして開催された.主催は,日本経済新聞社.
NFCは,「FeliCa」や「Mifare」などの非接触ICカードと互換性を持つ近距離無線通信の国際規格である.スマートフォンや家電製品への採用が進み,市場が急激に拡大している.本展示会では,決済,マーケティング,セキュリティ,M2M(Machine-to-Machine)などにかかわるICカード/タグ・システムなどが紹介されていた.
●機器や利用者を識別する認証型コンセントを開発
ソニーは,機器の電源プラグと家屋やビルなどのコンセントの間で通信を行い,機器の認証を行う「認証型コンセント」を参考展示した(写真2).通信と認証に非接触ICカード技術であるNFC/FeliCaの仕組みを利用する「認証型コンセント:FeliCaタイプ」と,独自の電力線重畳通信技術を利用する「認証型コンセント:電力線畳重通信タイプ」の2種類を開発した.
FeliCaタイプでは,機器の電源プラグに非接触ICカードで使われている認証チップとアンテナを組み込み,コンセント側には認証用のリーダ/ライタやコントローラ,アンテナを組み込む.そして,13.56MHzの近距離無線通信によって,認証に必要なデータを受け渡す.一方,電力線畳重通信タイプでは,認証に必要なデータを13.56MHzの信号として電力線に重畳し,機器とコンセントの間で受け渡す.この方式では,機器とコンセントの間に延長コード(数m~数十m)が挟まっていても通信を行える.
電源プラグがコンセントに接続されたとき,接続された機器または利用者を識別して,使用電力と関連づけることが可能.例えば電力利用者の管理や電力利用状況(電力量や利用履歴)の管理に応用できる.また,異物を差し込んでも感電しない安全なコンセントを実現することも可能.
●おサイフケータイと連動するサービス端末を薄型,軽量に
大日本印刷は,おサイフケータイ機能を搭載した携帯電話やスマートフォンに対して情報配信を行う端末「PetitPorta(プチポルタ)2」を展示した(写真3).本端末の外形寸法は108.5mm×60mm×7.5mm,重さは約45g.バッテリ駆動が可能なため,イベント会場など,電源確保が困難な場所でも利用しやすい.オプションの外付けバッテリを利用した場合,1カ月程度の連続稼働が可能.
おサイフケータイを本端末にかざすと,Webブラウザやメール・ソフトウェア,その他のアプリケーションが自動的に起動するように設定することが可能.例えばあらかじめ登録されているアプリケーションを起動することで,クーポンやスタンプ・ラリーなどのサービスを提供できる.また,電子書籍やゲームなどのアプリケーションも自動起動できる.FeliCa以外のNFC準拠の非接触ICカード(ISO/IEC 14443 TypeA/TypeB)にも対応している.
●決済の種類に合わせて3色のバックライトが点灯
香港Advanced Card Systems社は,非接触型の決済端末「ACR123」を展示した(写真4).本端末は,既存のPOS端末などに接続して利用する.外形寸法は159mm×100mm×24mm,重さは245g.128ピクセル×64ピクセルで,4行の文字を表示できるLCD画面を備えている.ICカードなどをタッチする部分は,決済の種類に合わせて赤,緑,青の3色のバックライトが点灯する.
ISO 14443 TypeA/TypeB,Mifare,Master-Card PayPass,Visa PayWave,ISO 7816 Part 1-3(SAMカード部)に準拠したICカードの決済に利用できる.ホスト・インターフェースはRS-232-CまたはUSB 2.0 Full Speed.ホスト・コンピュータの対応OSは,Windows 98/2000/XP/Vista/7,Windows Server 2003/2008/2008 R2,Mac OS,Linux.