パソコン周りのケーブル追放を目指すCertified Wireless USBの動向 ―― USBはWireless USBに置き換わるか?
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Wireless USBはUSBを置き換えるか?
● 今も進化を続けるUSB 2.0
2002年を過ぎるころからノート・パソコンにはUSB 2.0用コネクタしか搭載されなくなり,レガシ・インターフェースと呼ばれるRS-232-Cやパラレル・コネクタはその姿を消していきました.同時に,元来,パソコン用のインターフェースとして開発されたこのシリアル・バスが組み込み機器の市場に浸透し始めました.
例えば,ビデオ・レコーダやオーディオ・コンポ,カー・ステレオなどが「ホスト」として動作し,USB 2.0デバイスを接続できる機能を備えていきました.これはUSB 2.0そのものの普及をさらに加速し,その地位を不動のものとしました.2004年ごろからは計測器の世界でも,レガシ・インターフェースをUSB 2.0に切り替えるという動きが出てきました.
最近ではUSB 2.0をインターフェースとしてではなく,単なる100mA,5Vの電力供給を目的として使う製品(クリスマス・ツリーや扇風機の給電,または携帯型機器の充電用途など)も市場に出ています.
リリースから約10年が経過して,いまだに進歩を続けているこのシリアル・インターフェースは,そういう意味では"奇跡のインターフェース"と呼んでもよいのかもしれません.
● Wireless USBはどこまで普及するか?
このUSB 2.0ですが,今度は有線から無線に切り替わろうとしています.USB 1.0が出始めたころは,「複数種類のたくさんのケーブルから開放されます! もうどのコネクタにつなげばよいか分からないなどということはありません!」とアピールしていたことを思い出します.
これに対して,「複数種類のたくさんのケーブルから開放されます!もうどのコネクタにつなげばよいか分からないなどということはありません! ケーブルは不要なんです!」といってケーブルを引き抜く派手なパフォーマンスでスタートしたWireless USBはどこまで普及するのでしょうか.
興味深いことに,有線のUSB 2.0は無線LANであれBlue-toothであれ,競合することなく無線技術への入り口として使用され,共存してきました.例えば,以下のようなものがあります.
・USB 2.0-LANコンバータ
・無線LANドングル
・Bluetoothドングル
しかし,これがWireless USBとなれば,それは無線技術となって競合する可能性が出てきます.どの無線技術とも競合せず,Wireless USB独自の「キラー・アプリケーション」と呼ばれる用途を探していくことが,今後のこの無線技術の普及度合いを左右することになるのでしょう.