日本初のBluetooth公式認証機関の認定を目指すハイパー・パルテック

組み込みネット編集部

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インタビュー 2001年9月 5日

 Bluetooth対応機器を市場に出す場合,「Bluetoothロゴ認証」を取得する必要がある.その認証試験を行う公式施設としてBQTF(Bluetooth Qualification Test Facility)がある.ここでは,日本初のBQTF認定をねらう株式会社ハイパー・パルテックの代表取締役である吉岡章雄氏(写真1)にBluetooth認証試験の概要について聞いた.

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〔写真1〕ハイパー・パルテック代表取締役の長吉岡章雄氏

―― まず,ハイパー・パルテックについて教えてください.

吉岡氏 ハイパー・パルテックは,米国Hyper社と株式会社PALTEKの合弁会社です.日本においてBluetooth専門の認証サービスを提供する会社として,今年(2001年)1月に設立しました.Hyper社は,北米初のBQTF(Bluetooth Qualification Test Facility),つまりBluetooth公式認証試験施設として認定されています.また,Hyper社の代表取締役であるKurt Fischer氏はBQB(Bluetooth Qualification Body)であるため,Bluetooth認証サービスを迅速に行うことができます.

―― BQTFとBQBは認証試験の中で,どういった位置付けになっているのですか.

吉岡氏 簡単に言うと,BQTFは「認証する公式サイト」であり,BQBは「認証判定する人」です.つまり,開発した製品がBluetoothの仕様を完全に満たしているかをBQTFで試験し,そのテスト結果を評価し最終的に判断を下すのがBQBです.BQBがOKを出せばBluetooth SIG(Special Interset Group)の公式サイト「Qualified Product List」に掲載され,Bluetooth対応機器として市場へ出すことができます(図1)

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〔図1〕Bluetooth認定過程の概略

 ;BQTF(カテゴリA試験)はまだ正式に決まっていないため,現在は行われていない.

 Bluetooth認証を「サービス」として成り立たせるためには,認証会社はBQTFとBQBの両方が必要でしょう.どこのBQTFで試験を行うか,それをどのBQB に判定してもらうかはメーカ側が自由に決められます.ただし,認証までのコストと時間を考えれば,一つの認証会社ですべて行えるところを選ぶのではないでしょうか.

 現在Bluetooth SIG(正確には,Bluetooth SIGの認証方針の決定と維持管理を行う機関BQRB:Bluetooth Qualification Review Boad)によって認定されているBQTFは世界で4社だけです.Hyper社とCetecom社(ドイツ),7Layers社(ドイツ),Nokia社(デンマーク)です.日本には1社もありません.BQBは世界で29人,その中で日本人は1人だけです.

―― では,ハイパー・パルテックが日本で最初のBQTFになるのですか.

吉岡氏 ほかにもBQTFに名乗りをあげようとしている会社はあると思いますので,なんともいえません.しかし,先ほども言ったように,当社の関連会社であるHyper社はすでにBQTFの認定を受けているので,そのノウハウをもとに施設を設立すれば,より早くBQTFの認定を受けることが可能だと考えています.現在,試験施設を整えており,RF特性試験用の機材も11月までにはそろう予定です.その後,すぐにBluetooth SIGにBQTFの申請を行うつもりです.

―― 認証試験について説明してください.

吉岡氏 Bluetoothに対応した機器を市場に出す場合,第1に機器メーカが行わなくてはいけないことは,Bluetooth SIGに加盟することです.これにより,Bluetoothの仕様を無料で入手できます.仕様がわからなければ,製品の開発もできませんから.

 次に,製品開発後ですが,ここから認証試験が始まります.認証試験には四つのカテゴリがあります.まず,カテゴリD.これはテスト・プランなどの情報を作成する段階です.次にカテゴリC試験,B試験を行います.これらの試験はメーカが自社の試験施設を使って行えますし,認証会社に依頼してもかまいません.現状は,試験設備や測定機器が高価であることから,認証会社に依頼するケースが多いと思います.カテゴリC試験は,試験内容は規定されていますが,詳しい試験結果について報告する義務はありません.一方,カテゴリB試験は,試験結果の詳細を報告する義務があります.そしてカテゴリA試験です.RF特性試験をここで行いますが,これは必ずBluetooth SIGの認定を受けたBQTF(施設)で試験する必要があります.

 先ほどからBQTFの話をしていますが,現段階ではまだ,Bluetooth SIGからBQTFに関して,正式なアナウンスが出ていません.ですから,現在はカテゴリD試験からB試験までを行い,その報告書をもとにBQBが認証の判定を行っています.

―― Bluetoothに対して,本当に相互につながる製品ができるのか,といった厳しい意見を最近聞きますが.

吉岡氏 とにかく,Bluetoothについては,最初にマーケットが騒ぎすぎました.今は時期尚早です.今でこそ,みなさんはふつうにUSBに接続していますが,数年前まではつながらないと言われていました.Bluetoothの最新仕様(v1.1)が決まったのは,今年の初めですし,どこのメーカも最新のバージョンを製品に載せたがるでしょう.ですから,これからBluetoothに対応した製品が出てくるわけです.当社はBluetooth専門 の認証サービス会社としてやっていく方針ですので,Bluetoothのこれからの伸びを期待しています.


・ハイパー・パルテックのホームページ
http://www.hyper-paltek.com/
・Bluetooth SIG公式サイト
http://www.bluetooth.com/

・関連記事
8.7 ハイパー・パルテック,公式試験施設を使用するBluetooth認証サービスを開始

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