電子機器開発者のための半導体パッケージ熱設計入門 ――待ったなし!SOC & SIPの熱対策

中島宏文

tag: 組み込み

技術解説 2005年7月25日

 一つのチップに多数の回路を集積したシステムLSIや,一つのパッケージに複数のチップを封止したマルチチップ・モジュールを使ったシステム設計が一般的になってきた.そこで表面化してきた問題が,機器の熱設計である.ここでは,半導体パッケージの熱特性を理解しながら,どのように熱抵抗を抑え,電子機器を設計すればよいかについて解説する.  (編集部)

 最近,筆者が所属する半導体パッケージ技術部門に,電子機器メーカからの半導体パッケージ(以下,パッケージ)の熱抵抗に関する問い合わせや熱抵抗の低減に対する要求が多く寄せられるようになりました.この背景としては,

  • 電子機器の動作が全般的に高速になってきた
  • 機器が小型になって高密度実装を行った結果,熱密度が上がってきた
  • 電子機器を設計する際にデザインを重視したため,十分な放熱経路が得られない といった電子機器メーカ側の事情が挙げられます.これに加えて,以下のような半導体メーカ側の事情もあります.
  • 半導体チップ(以下,チップ)の微細化に伴って,より多くの回路がチップに集積され,発熱量が大きくなった
  • 同じ性能を備えたチップなのに,サイズが小さくなったためにパッケージの熱抵抗が上がった

 例えば,現在市販されているテレビ機能付き携帯電話の中には,「長時間テレビを見るとやけどをする可能性がある」といった警告ラベルが貼られている機種があります.従来,携帯電話では熱を機器全体に拡散することで,特定部が熱くならないように設計していました.しかし,上述した半導体デバイスや電子機器の進化によって発熱量が増加し,機器全体への熱拡散だけでは対処できない状況になっているようです.

 現在の電子機器設計において,熱設計は電気設計と同じレベルの重要性を持つようになってきたと筆者は感じています.そこで本稿では,パッケージの熱設計の概要について解説します.電子機器の設計者にパッケージの熱設計とその特性を理解してもらい,システム全体の熱設計に役立てていただきたいと思います(コラム「半導体パッケージに対する顧客の要求」を参照).

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