電子機器開発者のための半導体パッケージ熱設計入門 ――待ったなし!SOC & SIPの熱対策
●○● Column 1 ●○●
半導体パッケージに対する顧客の要求
電子機器メーカの顧客を訪問したときの会話です.
顧客:半導体の熱を基板に放熱するなどとんでもない.基板上には何十という部品が載っているのだから,それらがすべて基板に放熱したら基板が熱くなってしまうではないか.基板そのものは大きいかもしれないが,高密度実装しているのだから部品1個当たりのスペースは小さいのだよ.デバイスだけで熱を処理できる低熱抵抗のパッケージがあるだろう?
筆者:チップからパッケージ表面までは熱抵抗を下げることができますが,パッケージ表面から雰囲気への放熱は外形寸法と風量で決まってしまいます.パッケージの寸法を大きくするか,強制空冷できないのですか?
顧客:携帯機器にファンなど付けられないし,小型パッケージは必須だ.小型で低い熱抵抗のパッケージは用意されていない
のか?
筆者:小型で低い熱抵抗を実現するために,パッケージから熱伝導で機器の筐体を経由して大気に熱を逃がしたらいかがでしょうか?それでしたらフリップチップCSPがあるので,フリップチップのなつ印面を筐体に高熱伝導ペーストで接着してもらえばよいと思います.
顧客:私が言っているのは,機器側に頼るのではなくて,パッケージだけで熱を処理できる方法がないかということだよ.
筆者:..........