電子機器開発者のための半導体パッケージ熱設計入門 ――待ったなし!SOC & SIPの熱対策
4) プリント基板設計との組み合わせで熱抵抗を下げる
図17は,PBGAを実装した際のプリント基板の仕様の違いによる熱抵抗の一例です.
27mm角の256ピンPBGAの中央に,16(4×4)個のサーマル・ボールをグラウンド端子として追加したパッケージを2層基板に搭載すると,24.6deg/Wのθjaが得られます.
プリント基板を4層にすると21.7deg/Wになります.ここで,サーマル・ボールがはんだ付けされるプリント基板のランドにスルー・ホールを多数設けて,内層のグラウンド・プレーンに熱伝導するパスを作ると,チップからの熱経路が「パッケージのサーマル・ビア→サーマル・ボール→プリント基板のスルー・ホール→内層プレーン→基板放熱」と抜けて放熱経路が確立されることで,21.1deg/Wに下がります.さらに,サーマル・ボールを,チップ全面をカバーできる大きさの64(8×8)個に増やしてやると,17.5deg/Wとなります.
このように,プリント基板を含む全体の熱設計によって低コストのパッケージを使いこなすくふうも必要です.
5) 低熱抵抗のキャビティ・ダウン型BGAを採用する
もっとも熱抵抗が低くなるのは,QFPと同様にチップを裏返してヒート・スプレッダが表面に露出したキャビティ・ダウン構造のBGAです.
このタイプのパッケージには,TBGAやABGA,FCBGAなどがあり,直接チップから熱がパッケージ表面の銅板に熱伝導され,基板への熱伝導や対流による放熱,放射によって低いθjaを得ることができます.