電子機器開発者のための半導体パッケージ熱設計入門 ――待ったなし!SOC & SIPの熱対策
2) リード・フレーム材の切り替えが遅れている日本企業
リード・フレーム材質を42合金(Fe-Ni)から銅合金に変えることによって熱抵抗が下がることは周知の事実です.後発のアジアの組み立て受託企業は,すでに銅合金リード・フレーム製QFPのみをラインナップしています.
残念ながら日本の半導体メーカは,顧客の了承が得られないなどの理由で,42合金から銅合金への切り替えが遅れており,同一形状のQFPでも製造ラインは42合金リード・フレーム・ラインと銅合金リード・フレーム・ラインがあるといった,非効率な面があります.
3) 伝熱面積を広げるリード・フレーム設計上のくふう
リード・フレーム設計の観点からは,チップが搭載されているダイ・パッドの寸法を可能な限り大きく設計することによって伝熱面積を増やし,熱抵抗を下げることができます.さらに熱抵抗を下げる必要がある場合,ダイ・パッドにヒート・スプレッダを取り付けて,ほぼパッケージ面積全面に伝熱する構造をとることができます.
リード・フレームそのものを厚くすることによって熱抵抗値を下げることもできます.しかし,QFPのピン数が多くなると,リード・フレームのパターンを密(ファイン)にする必要があることから,加工上厚さを薄くしなければならず,この方法が適用できない場合もあります.
グラウンド・リードなどを活用して,ダイ・パッドと外部リードを物理的に連結し,チップの熱を外部リード経由でプリント基板に逃がす方法もよくとられます.
以上はQFPの伝熱面積を大きくするための施策と言えますが,そのほかにQFP単体では対処不可能な電力を消費するパワー・デバイスについては,QFPを上下反転してダイ・パッドを表面に露出させ,基板実装後にヒート・シンクをQFPの上に接着させるという構造にすることもあります.