電子機器開発者のための半導体パッケージ熱設計入門 ――待ったなし!SOC & SIPの熱対策
2) パッケージ基板の内層2層をグラウンド層に
BGAを搭載する実装基板には電気的特性から電源層,グラウンド層を有する4層以上のプリント基板を用いるのが一般的ですが,パッケージ基板については電気的な理由よりも熱抵抗を下げるために4層構造を採用するケースが多いようです.
この場合,グラウンドを兼ねるダイ・パッドに設けられたスルー・ホールによってチップから内層へ熱流を伝え,パッケージ基板が4層であっても内層を2層ともグラウンドにして熱経路を確実に確保する設計を行います.さらに熱抵抗を下げたい場合は,厚いメタル・コア層を基板内に埋め込んだ基板を採用します.
3) 埋め込みヒート・スプレッダを設ける
サーマル・ボールと4層のパッケージ基板という組み合わせでも熱抵抗の要求値に届かない場合,パッケージ内に埋め込みヒート・スプレッダを設けます.このヒート・スプレッダは,モールド樹脂を伝わってきた熱をスプレッダによってパッケージ表面に拡散させるために埋め込みます.しかし,QFPの場合と異なり,ダイ・パッドやチップに直接接触しているわけではないので,熱抵抗の低減率は限定的です.
上記の4層パッケージ基板(内層銅はく72μm厚)と比較して,2deg/Wの低減効果となっています.また,パッケージ寸法が小さい場合は熱を拡散させる面積が小さくなるので,ヒート・スプレッダの効果は減少します.