電子機器開発者のための半導体パッケージ熱設計入門 ――待ったなし!SOC & SIPの熱対策

中島宏文

tag: 組み込み

技術解説 2005年7月25日

● 熱放射による放熱手法は大面積のものに限定

 熱放射は電磁波による熱エネルギーの放出であり,絶対零度の物体以外はかならず何らかの熱放射を行っています.その熱放射の熱抵抗は図1に示したように,以下の数値を掛け合わせたものに反比例します.

  • 放射率
  • 形状ファクタ
  • 表面積
  • 加熱面と周囲の平均絶対温度の3乗

 絶対温度の高い状態では,電磁波の放射によって活発に熱交換が行われます.逆に,絶対温度の低い状態では電磁波の放射が少なく,熱放射による熱エネルギーの放出は小さくなります.

 熱放射の効率を表す放射率は,物質の表面状態によって0~1の間で数値化されます.例えば,鏡面のアルミニウムの場合はほとんど熱放射がないため,放射率は0.05となりますが,黒色アルマイト処理(放熱効果を上げるための表面処理)を行うと0.95と放射率が高くなります.また,黒ラッカーや白ペイントなどの塗料を塗るだけでも放射率を0.9に上げることができます.

 放射率の高い材料を半導体パッケージ表面に塗布して,熱放射によって放熱しようという提案もなされています.しかし,熱放射は放射面積や平均絶対温度の3乗に比例するため,この方法が十分に効果を上げるには半導体パッケージの表面積が大きいこと,雰囲気温度そのものが高温域にあることが前提となっています.言い換えれば,小型のCSPよりも大型のパッケージのほうが熱放射効果は大きいということで,将来,熱抵抗を下げる必要性が増してくるCSPなどには効果が小さいと言えます. 

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