設計の基本は仕様の理解 ――高速シリアル通信を実現するために知っておくべき最低限の知識
3.機械的・電気的仕様は基本中の基本
USB 2.0では機械部品と電気部品について明確に規定されています(コラム「USB 2.0規格書を読むべし!」を参照).USB 2.0対応機器の設計を行う際には,規格書をもとにこれらの部品について理解する必要があります.
●ケーブルやコネクタの選択を誤ると通信に影響
機械的仕様はUSB 2.0規格書の第6章で規定されていますが,ここでは特に重要な点だけをかいつまんで説明します.
1)USBケーブル
ハイスピード・モードに使用するケーブルは価格ではなく,品質優先で選んでください(図8).
周波数が上がるにつれてケーブルの損失が急激に増加します.また,位相特性も伝播遅延時間や周波数特性の影響を受けるため,受信波形が変形します.例えば筆者の経験では,USBケーブルを交換するとWindowsがデバイスを認識しなくなるといったケースがありました.そのときケーブルは同じ製品でしたが,パソコンのUSBホストLSIの状態が悪く,ケーブル特性の微妙な違いが動作に影響を与えていました.
〔図8〕USBケーブル
ケーブルについて,USB 2.0の仕様で配色などが規定されている.標準の心線配色は,緑が差動信号ライン D+,白がD-,赤が電源供給ラインVBUS,黒がグラウンド(GND),ワイヤ部がシールドとなっている.