設計の基本は仕様の理解 ――高速シリアル通信を実現するために知っておくべき最低限の知識

掛須利夫

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2004年1月30日

●電気的特性は認証テストをパスするための最大の難関

 規格書の第7章に電気的特性が述べられています.認証テストの基準となっている章です.一部の特性テストでは,規格からはみ出ていてもテストを通過する項目があります(「ウェーバ」と呼ばれる).これは,実動作で支障がない範囲ということで許されています.

 実際のUSBデバイスについては本特集の第2章で述べるので,ここでは電気的インターフェースと認証テストにかかわる重要な電気的要素を説明します.

1)トランシーバのI/Oインターフェース

 USB 2.0ハイスピード・モードでは480Mbpsの信号を送るため,フルスピード・モード(12Mbps)のときとはまったく異なるインターフェース仕様となりました.フルスピード・モードでは電圧駆動でしたが,ハイスピード・モードでは電流駆動に変わりました.USB2.0ハイスピード・モードに対応したトランシーバの基本構造を図11に示します.

 図11で注目すべき箇所は,「高速電流ドライバ(High Speed Current Driver)」です.電流駆動であることがはっきりと示されています.実際のデバイス回路を調べてみると,CMLが使われています.USBコントローラLSIの大半はCMOSプロセスで製造されているので,MOS構造のカレント・ミラーとオープン・ソース出力の差動アンプで構成されています.一般にCML回路は電流吸い込み型ですが,USB2.0では電流供給型になっており,吸い込み型とは回路の上下が逆転した形になっています.

f11_01.gif
〔図11〕ハイスピード・モード対応のUSBトランシーバ
USB 2.0仕様書の"Figure 7-1. Example High-speed Capable Transceiver Circuit"より抜粋したもの.図中,「高速電流ドライバ(High Speed Current Driver)」とあり,電流駆動であることがはっきりと示されている.アサートSE0はハイスピードではターミネーションに使用する.

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