統合型プリント基板CADツールの運用方法 ――回路設計者とプリント基板設計者の共同作業を成功させよう!

城野幸男

tag: 実装

技術解説 2003年5月29日

 まずたいせつなのは,回路図上には反映されていない「回路を正しく動作させるための条件」を伝えることです(図1).ここであらためて説明するまでもないことですが,高速ディジタル回路では,配線パターンは特性を持った部品(分布定数線路)としてふるまいます.しかし基板設計者の多くは部品間の配線を誤りなく結ぶことだけで精いっぱいの状態です.このため,回路の動作を調べて配線パターンの特性を調整するというところまで手がまわらないことが少なくなく,回路設計者が的確な指示をしないかぎり,「正しく動くプリント基板」はでき上がりません.

 また,プリント基板設計者にとっては,物理的な制約も大きな心配ごとです.特に規模の大きい回路では,示されたプリント基板の配線スペースが足りなくなることを恐れます.配線が99%終わっても,残りの1%が収まりきらなければ,最初から設計をやり直さなければならないからです.このため,発注時には,「以前のバージョンより部品数が減っているので十分に収まるはずです」というように,スペースの予測とその根拠をはっきりと伝えましょう.そうすると彼らは安心して設計に打ち込めます.

 さらに,プリント基板設計の途中での回路変更は極力避けなくてはなりません.設計変更は,2度手間によって納期が遅れて費用がかさむだけでなく,精魂込めて行った設計がむだになってしまったショックで,プリント基板設計者の集中力が途切れてしまうこともあるからです.このためには何よりもまず,回路設計の信頼性を上げることが重要です.少しでも気になることがあれば問題を先送りせず,必ず解決してから発注するようにしましょう.

 プリント基板設計者にとって回路設計者は,無理難題をふっかける「わがままなお客さん」です.しかしここで説明したように,プリント基板設計者のしごとを理解して気のきいた指示を出せば,大急ぎでできの良い基板をしあげて,ニコニコしながら持ってきてくれるでしょう.そしてそのときは,ただ受け取るだけでなく,「ありがとうございました」のひと言を付け加えましょう.実は,リーダシップをとるには,お礼を言うことも重要なのです.

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〔図1〕プリント基板設計の発注
回路設計者はプリント基板設計の流れを理解し,相手から要求される前に,必要な情報を提供する姿勢が重要である.このことが,回路設計者のリーダシップの強化につながる.

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