統合型プリント基板CADツールの運用方法 ――回路設計者とプリント基板設計者の共同作業を成功させよう!

城野幸男

tag: 実装

技術解説 2003年5月29日

6)ダンピング抵抗やターミネータでリンギングを止める

 両面基板のままでも,ダンピング抵抗を追加することにより,リンギングを抑えることはできます.この場合,ダンピング抵抗の値を少しずつ変化させてシミュレーションを行い,その結果からもっとも適切な値を選ぶことになります.図15(a)は25Ωから150Ωまで値を変化させ,シミュレーションを行った結果です.この波形から80.564Ωが最適な値であることがわかります.実際にプリント基板に追加する場合には,E12/E24系列の82Ωを選んで使います.

 また,ターミネータの追加によっても,リンギングを止めることができます.この基板では終端がコネクタなので,ターミネータが効くはずです.これもダンピング抵抗と同じ方法で値を選びます.100Ω~500Ωの範囲でシミュレーションした結果が図15(b)です.抵抗値を小さくするとリンギングは改善されますが,振幅は下がります.抵抗値が188.9Ωではリンギングも少なく,4Vの電圧が確保できているので,このあたりの値がよさそうです.この場合,実際にはE12/E24系列の180Ωを選んで使います.

 以上の結果から,このプリント基板の配線の特性には問題があり,4層に変更するか,または抵抗を追加する必要があることがわかりました.どの対策方法を採用するかについては,コストや品質,納期を考慮して選びます.

 ところで,実際にプリント基板ができ上がってくる前にこのようなチェックができるということは,昔と比べて,ほんとうに便利になったとしみじみ思います.もしこのチェックができなければ,プリント基板を組み立てた後でないとこのような問題は発見できません.伝送線路シミュレータは,そのほかのEDAツールと比べると機能が単純なため,操作も簡単です.また最近ではモデルも入手しやすくなっています.みなさんも,積極的に使っていただきたいと思います.

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〔図15〕 ダンピング抵抗とターミネータで特性を改善
どちらの場合も,抵抗値を変更することによって,リンギングが改善されていくことがわかる.

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