プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(後編) ――ソフト開発環境とハード開発環境をシームレスにつなぐ
日立製作所と米国Triscend社が共同開発しているプログラマブル・ロジック内蔵SHマイコン(SH7651,SH7655)の開発環境について解説する.同LSIの開発環境は,CPU上で動作するソフトウェアとプログラマブル・ロジックに実装するハードウェアの両方の開発に対応している.また,CPUからアクセスするCSL内のレジスタ群のアドレスを自動的に割り当てる.さらに,Cコンパイラまたはアセンブラのヘッダ・ファイルとして利用できるアドレス・マッピングの定義ファイルを生成したり,チップ内の機能設定レジスタの設定ルーチン・プログラムを生成する. (編集部)
本稿の前編ではFPGA/PLDを内蔵したマイコンが登場した背景と,現在,筆者ら(日立製作所)が米国Triscend社と共同で開発しているプログラマブル・ロジック内蔵SHマイコン(SH7651,SH7655)のハードウェア仕様について紹介した(コラム1「プログラマブル・ロジック内蔵マイコンというLSIチップの開発フロー」を参照).
さて,FPGA/PLDの開発では設計環境の使い勝手が重要であることは言うまでもない.プログラマブル・ロジックとマイコンを1チップにまとめたCSoC(Configurable System on Chip)となると,プログラマブル・ロジックに実装するハードウェア(回路)だけでなく,CPU上で動作するソフトウェアも開発しなければならない.これに対して,Triscend社は回路とソフトウェアの両方の開発に対応した設計環境「FastChip」を提供している(コラム2「シリコンバレーの会社の雰囲気」を参照).現在開発中のプログラマブル・ロジック内蔵SHマイコンについても,開発環境としてFastChipを利用する.
ここではFastChipを用いた簡単な開発例を交えながら,プログラマブル・ロジック内蔵マイコンに必要となる開発環境の詳細について解説する.