プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(後編) ――ソフト開発環境とハード開発環境をシームレスにつなぐ
PLD内蔵マイコンの開発環境
CSoCは,本稿の前編でも説明したとおり,マイコン(CPU)とプログラマブル・ロジック(CSL:Configurable System Logic)を1チップに集積したシステムLSIである(図1).CSoCを利用する場合,ユーザはCSLに実装するハードウェアとCPU上で動作するソフトウェアの両方を開発しなければならない.
まず,ソフトウェア開発では,通常のマイコン開発で使用されているツールが必要になる.例えば,Cコンパイラやアセンブラ,リンカ,ソース・コード・デバッガ,命令セット・シミュレータ,ICE(in-circuit emulator)などである.一方,ハードウェア開発では,通常のプログラマブル・ロジック開発で使用されているツールが必要になる.例えば,回路図エディタ,論理合成ツール,プログラマブル・ロジックのコンフィグレーション・ツール(配置配線ツール)などである.図2に,筆者らが考えるCSoC開発環境の概要を示す.
〔図1〕プログラマブル・ロジックを内蔵するSHマイコン
SHコアと各種の周辺機能から構成されるSHマイコンに,さらにプログラマブル・ロジック(CSL)を集積した.
〔図2〕 プログラマブル・ロジック内蔵SHマイコンの開発環境
ユーザは,CPU上で実行するソフトウェアとCSLに実装するハードウェアの両方を開発する必要がある.ソフトウェアは,Cコンパイラ,アセンブラ,リンカ,命令セット・シミュレータを用いて,通常のマイコンの場合と同じように開発する.ハードウェアは,EDAベンダから出荷される論理合成ツールや回路図エディタを用いて,通常のFPGA/PLDと同じように開発 する.プログラマブル・ロジッ クの配置配線とコンフィグレーション・データの作成は,FastChipを使って行う.このコンフィグレーション・データとソフトウェア・プログラムのオブジェクトを,JTAGベースのICE(in-circuit emulator)を介してユーザのシステム基板にダウンロードし,デバッグを行う.