プログラマブル・ロジックを集積したSHマイコンのすべて(後編) ――ソフト開発環境とハード開発環境をシームレスにつなぐ

山崎尊永

tag: 半導体

技術解説 2002年2月28日

Column5 Triscend社はなぜCSoCを製品化したか?

 米国Triscend社は,1997年に設立された若い会社ですが,非常に早い時期にCPUとプログラマブル・ロジックを混載したCSoCを製品化しました.

 Triscend社がこのCSoCという製品を開発しようと考えたきっかけは,みなさんご存じの「ムーアの法則」に由来します.この法則は,シリコン・チップに搭載される回路規模は1.5年で2倍に増えていくだろうということを,米国Intel社のGordon Moore氏が1964年に予言したものです.これは,当初の倍増のスピードは緩んできたとはいえ,確かに現実のものになっており,今でも半導体プロセス技術の進歩の速度は止まっていません.多くのトランジスタが1チップに集積され,そのチップの上に大きなシステムを実現できるようになり,多くの人に恩恵をもたらしました.

 その一方で,複雑化・巨大化するシステムをチップの上に実現していくことは,LSI設計者にとってたいへんな問題になってきています.多くのトランジスタの動作を検証するための工数が増大し,微細化プロセスの利用にともなうマスク・レチクル代やウェハ代が高額になってきています.そのため,システムLSIを1個開発するだけで,長い時間と多額の費用がかかります.結果として,独自のカスタム機能を持つSOCを開発できる企業の数は,非常に限られたものになってしまいました.

 CSoCの製品化は,こうした状況を背景としています.CPUコアと多くの周辺機能,そしてそこに最適なサイズのプログラマブル・ロジックが内蔵された,だれもが手に入れられる標準品としてのシリコン・チップ.これこそが,これからの微細化プロセスの時代に要求されるLSIであるとTriscend社は考えています.

 ある調査会社によれば,10年後にはプログラマブル・ロジックを内蔵したCPU製品がSOCのうちの多くの部分を占めるとのことです.すでに何社もの半導体メーカがこうした製品を発表もしくは発売しています.例えば,Triscend社は,8ビットCPUをコアにしたE5シリーズと32ビットCPUをコアにしたA7シリーズを発売しています.さらに今回,日立製作所と共同で,SHマイコンをコアにしたCSoCを新たに開発しています.

 Triscend社と日立製作所が,CSoCという開発プラットホームを市場に提供し,多くのシステム設計者に豊富なシステム・ソリューションを提供できることを,Triscend社はたいへんうれしく思います.


Chris Balough
米国Triscend社 Founder,Senior Director of Marketing

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日