ユーザから見たIIMPカーネル概説 ――組み込み分野でもソフトウェア部品を再利用する時代に
組み込み用リアルタイムOSとして広く利用されているμITRON仕様に保護機能が追加された.仕様の公開と同時にリファレンス実装もフリー・ソフトウェアとして公開されている.本稿では,この保護機能を持ったμITRON仕様OSについて概説し,今後どのような展開が期待できるかについて述べる. (筆者)
携帯電話やカー・ナビゲーション・システムのような組み込み機器に使われているリアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS:real-time operating system)として国内でもっとも多く使われているのは,μITRON(マイクロ・アイトロン)仕様に基づいたものです(コラム「ITRON仕様」を参照).
μITRON仕様はマイクロプロセッサの性能を最大限に引き出すために,非常に軽いオーバヘッドでOSが作れるように考慮されています.また,エンジニアの教育効果もねらった,体系的に整理された仕様としてまとめられています.最低限の必須機能から大規模な拡張機能までカバーするスケーラブルな仕様体系となっており,この仕様に基づいたOSを自由に開発し商品化できるため,8ビット・マイクロコントローラ用から64ビット・マイクロプロセッサ用まで多くの製品が発表されています.
(本記事は,Design Wave Magazine 2002年9月号に掲載されたものです)