ユーザから見たIIMPカーネル概説 ――組み込み分野でもソフトウェア部品を再利用する時代に

檜原弘樹

tag: 組み込み

技術解説 2002年8月15日

μITRON4.0/PX仕様の概説

●なぜ保護機能を導入したのか?

 組み込みソフトウェアは従来,直接人目に触れることが少ない地味な存在でした.ところが近年の携帯電話やカー・ナビゲーション・システムなどの普及とともに組み込みソフトウェアが直接ユーザに操作される機会が増え,信頼性や品質の確保が大きな課題となりました.

 さらに,Javaプログラムを実行できる携帯電話のように,ユーザの利便性を向上させるために製品の出荷後にネットワーク経由で新しいプログラムをダウンロードできる組み込みシステムが増えつつあります.このため組み込みシステムにおいてもセキュリティ確保が重要になり,ダウンロードしたソフトウェアから電子機器を制御する基幹ソフトウェアを保護することが不可欠になりました.この結果,組み込みシステム用のOSに保護機能を導入する必要性が高まってきました.

 このような背景を踏まえ,トロン協会は2001年初めよりμITRON仕様に保護機能を追加するための仕様検討を開始し,2001年11月からリファレンス実装を開発するためのIIMPプロジェクトを進めてきました.

 このプロジェクトは情報処理振興事業協会(IPA)による「情報技術開発支援事業」の採択テーマの一つとして進められたものです.フリー・ソフトウェアとして公開したIIMPカーネルは,豊橋技術科学大学のTOPPERS/JSPカーネル(コラム「TOPPERSプロジェクト」を参照)をベースに開発しました.開発にあたっては,ほかのプロセッサに容易に移植できるように考慮されています.また,その開発成果はμITRON4.0/PX仕様に反映されています.

 仕様の公開と同時にリファレンス実装をフリー・ソフトウェアとして公開するのは,TRONプロジェクトの中でも初めての試みです.それだけ保護機能拡張の普及を重要視していることがわかります.

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