ユーザから見たIIMPカーネル概説 ――組み込み分野でもソフトウェア部品を再利用する時代に
●IIMPカーネルのサポート・保守体制
IIMPカーネルはμITRON4.0/PX仕様の理解の促進,およびこの仕様に基づいたリアルタイムOS開発を支援する目的で作られていますが,そのまま製品開発に利用することもできます.
トロン協会では今後,μITRON4.0仕様に対する保護機能拡張ならびにIIMPカーネルの普及を目指して,IIMPカーネルに対するサポート・保守体制を整備し,各種の広報活動・教育活動を進めていく計画です.
公開しているIIMPカーネルについては当面はトロン協会で保守体制を組みますが,エーアイコーポレーションなどのベンダがサポート・ビジネスを開始しつつあります.仕様書は英語版も作成する予定です.
今後は,展示会や併設セミナなどで紹介するなどの普及活動を進め(注5),3年後には各種の組み込みシステム用のリアルタイムOSの中で,保護機能を持ったμITRON仕様OS全体のシェアを5~10%程度にすることを目標としています.
参考・引用*文献
(1) TRON ASSOCIATION,http://www.assoc.tron.org/
(2) 「平成12年度 組み込みシステムにおけるリアルタイムOSシステムの利用動向とITRON仕様OSに関するアンケート調査結果」,
http://www.assoc.tron.org/itron/survey2001/result-j.html
(3) 「デバイスドライバ設計ガイドライン」,
http://www.assoc.tron.org/itron/GUIDE/device-j.html
ひはら・ひろき
NEC東芝スペースシステム(株)
◆筆者プロフィール◆
檜原弘樹.人工衛星に搭載する汎用組み込み計算機や通信制御装置,画像圧縮/画像認識装置の開発グループを取りまとめている.TRONプロジェクトに対しては長くユーザの立場で関わってきたが,1996年にITRONハード・リアルタイム・サポート研究会が始まって以来,仕様検討に加わっている.
注5;さっそく2002年7月9日に,トロン協会主催の「μITRON4.0仕様 保護機能拡張の仕様解説と実装」というセミナが行われた.