ユーザから見たIIMPカーネル概説 ――組み込み分野でもソフトウェア部品を再利用する時代に

檜原弘樹

tag: 組み込み

技術解説 2002年8月15日

C O L U M N
ITRON仕様

 μITRON(ITRON)仕様は,図Aに示すTRONプロジェクトにおける,組み込みシステム向けのリアルタイムOSの仕様である.プログラムやソース・コードではなく基本的にその仕様のみが公開されており,この仕様に沿って開発されたOSはすべてTRON仕様準拠OSということになる.なお,TRON仕様準拠OSであることを明示する必要はない.

 μITRON仕様は国内の組み込みシステム用リアルタイムOSの業界標準として広く用いられており,海外メーカからも製品が発表されるようになった.トロン協会の国内でのアンケート調査によると,最近開発された携帯情報端末や家電製品などの組み込みシステムの30~40%にITRON仕様に準拠したOSが用いられているという結果が出ている1).リアルタイムOSを用いていないシステムを除くと,組み込みシステム用のOSの中でのシェアは40~50%に達する2).特にコンシューマ製品向けの小規模な組み込みシステムの分野でシェアが高いという結果も出ているが,自動車のエンジン制御や人工衛星の通信・制御にも使われるなど,高信頼性が要求される製品にも適用が広がっている.

 この仕様はだれでも自由に利用できるオープンな仕様だが,それに準拠して実装したリアルタイムOSはオープンでなくてもかまわない.ソース・コードの開示を要求したり販売に制限を加えるようなライセンス条件はないので,自由にビジネスを行うことができる.

 この仕様は携帯電話に広く採用されたことから,最近になって急速に注目を浴びるようになったが,実は20年以上にわたって地道に研究開発が続けられてきた(図B)

 μITRONの仕様は,TRONプロジェクト開始からこれまでの約20年間に4世代の仕様の策定・公表を経ており,最新のバージョンである4.0は現行のリアルタイムOS技術の範囲では高い完成度を持つに至っている.

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〔図A〕TRONプロジェクト
μITRON仕様は,TRONプロジェクトの中で組み込みシステム向けのリアルタイムOSの仕様として位置付けられている.

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〔図B〕μITRON(ITRON)仕様の進化のようす
ITRONは20年以上にわたって研究開発が続けられてきた.

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