ユーザから見たIIMPカーネル概説 ――組み込み分野でもソフトウェア部品を再利用する時代に
しかし,最近ではパソコン顔負けの大規模なソフトウェアを搭載している組み込み機器が増えてきました.また,組み込み機器市場はアイデア勝負の市場でもあります.新しいアイデアをいかに早く商品化して市場に投入できるかどうかがビジネスの成功のかぎを握ります.
こういった製品を短納期・低コストで開発するためには,製品開発者がソース・コードの隅々まで目を通して確認することが難しくなってきました.ネットワーク言語やブラウザのようにライセンス上バイナリ・モジュールしか提供されないものや,インターフェース情報のみで中身がブラックボックスに近いものを使用するケースも少なくありません.こうなると,他社で開発されたプログラム・モジュールを再度自社の品質基準に基づいてテストし直して出荷することがだんだん難しくなり,検証報告書などを確認することにより「信頼して」使用することになります.
このような場合でも,流用したり購入するソフトウェア部品が保護機能を持ったリアルタイムOSの仕様に準拠して作られていれば,リソースの競合などによるシステムへの悪影響もなく,セキュリティ・ホールを通したシステム破壊なども防ぐことができます.すなわち,外部調達のソフトウェア部品や流通しているアプリケーション・ソフトウェアを組み込みつつ,信頼性の高い製品を開発するための技術的な基盤が整った,と言うことができます.