FPGA活用回路&サンプル記述集(3) ―― ビデオ信号処理回路

大中 庸生

事例2.4ライン構成のライン・バッファ

大中 庸生
外部回路

  • 回路図:なし
  • 主要部品:なし
HDL記述
  • Verilog HDL:リスト2-1,本誌Webページからダウンロード
  • 外部入力:なし
  • 外部出力:なし
  • 内部入力:RESET,WA,WEN,WCK,WD,RA,REN,RCK
  • 内部出力:RD0,RD1,RD2
  • パラメータ:なし
評価環境
  • Altera社,Quartus II

 バッファ(Buffer)を英和辞書的にいえば「緩衝物」,「緩衝器」となるようです.こん包材に例えれば,気泡緩衝シートの役割を果たすものです.つまり,生活リズムなどが異なる二人の間に挟まって,「まあまあ」とやってくれる苦労人のことだと想像すれば,1歩そのイメージに近づいたような気がしてきます.

 電子機器の世界においても,入力機器と出力機器というのは,そのままでは結構仲が悪いことが多いものです.ですから,機器の内外のどこかに,何らかの調停役,つまりバッファが入っているものです.

 画像処理の世界でも,ある処理系から別の処理系へデータを受け渡そうとすると,両者が,嫌になるほど勝手なことを主張して,1歩も譲らず,困ってしまうことがよく起こります.こういうときに,頼りになるのがバッファです.

 仲の悪い二人は,直接顔をあわせるのを避ける,つまりA氏からB氏へ直接荷物(データ)を手渡さないのが上策です.そのための方策の一つとしては,A氏が荷物をいったん倉庫に収めておき,時間帯をずらしてB氏が取りに来るということが考えられます.そうしておけば,A氏の荷物の渡し方,速さ,手順,方向性,時間帯など,たとえそれがB氏の気に入らないことだらけであったとしても,B氏はB氏で,自分のペースで荷物を受け取って帰れます(図2-1).この場合,倉庫がバッファの役割を果たしたわけですが,電子デバイスにおける「倉庫」といえば,もう,なんといっても「メモリ」でしょう.

zu02_01.gif
図2-1 すれちがう二人...バッファの役割は大きい

● ビデオのライン・バッファとフレーム・バッファ

 ラスタ・スキャンを行うディスプレイ(CRTテレビなど)における画像バッファとしては,どの範囲でメモリに一時蓄積するかによって,ライン・バッファとフレーム・バッファが用意されます.

 ライン・バッファは1本以上のビデオ・ラインを一時蓄積する倉庫の働きをします.一方,フレーム・バッファは1枚以上のビデオ・フレームを一時蓄積する倉庫の働きをします.それぞれの特徴は,下記の通りです.

 ライン・バッファの特徴は,

  • フレーム・バッファに比べてメモリ容量が小さい.従って高速なメモリを使用できる.
  • 垂直方向の蓄積能力が限られているため,ラインをまたぐ縦の調停は苦手.入力側と出力側で垂直同期は確保しておく必要がある.

 フレーム・バッファの特徴は,

  • 十分な容量を持つメモリ・デバイスが必要.
  • 1枚以上のフレームを蓄積できるので,全く異なるビデオ・タイミングの入出力を調停できる.

● FPGAの内部メモリによるライン・バッファ

 近年では,比較的低価格のFPGAデバイスにもライン・バッファとして十分な容量のメモリが内蔵されています.FPGAの内部メモリを使用したライン・バッファ・システムで事足りると,外部のメモリ・デバイスが不要となり,コスト・ダウンできます.また,外部メモリが不要ということは,FPGAの使用ピン数を削減でき,これも大きなコスト・ダウン要因となります.

 FPGAの内部メモリは容量もさることながら,独立にアクセスできるブロック数が多いため,何系統ものライン・バッファを随所に設けることも可能です.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日