FPGA活用回路&サンプル記述集(3) ―― ビデオ信号処理回路

大中 庸生

 このため,平均値フィルタが出力する画像は「ぼけた」画像になってしまいます.これが,平均値フィルタが別名「ぼかしフィルタ」と呼ばれている理由です.このため元画像に近いデータの復元は困難になります.

 3×3サイズのフィルタ(図3-3)をFPGAで実現する場合は,ライン・バッファまたはフレーム・バッファを使用します.ここではライン・バッファと組み合わせた使用例を紹介します(リスト3-2)リスト3-2では,ディーエスオーのタイミング・ジェネレータ(第3章リスト1-1)およびライン・バッファ(第3章リスト2-1)を使用しています.

 3×3=9個のピクセル(画素)・データを,FPGA内部に3ライン分用意されたライン・バッファから読み込みます(RD0~RD2).3本のライン・バッファから読み込まれた3個のデータを,シフト・レジスタを使用することにより,3×3=9個のデータに展開します(D00IN~D22IN).

 このライン・バッファから得られた9個のデータを平均値フィルタなど各フィルタ・モジュールに入力させることで,各ピクセルについてフィルタ処理を行った出力を得ることができます.

● 実例を元にフィルタの効果を確認する

 写真3-1で例示したサンプル・データにおいては,平均値フィルタにぼかし効果があることが分かります.ノイズ除去で用いられるメディアン・フィルタの例も示します.平均値フィルタではエッジの「ぼけ」が生じます.メディアン・フィルタの場合には,画像のぼかし効果がないので,エッジはそのまま残ります.ノイズの状態により5×5や7×7のメディアン・フィルタがより有効になる場合や,逆に,ぼかし効果のある平均値フィルタが有利な場合があります.

photo03_01.jpg
写真3-1 平均値フィルタおよびメディアン・フィルタの効果を確認するためのサンプル画像

参考・引用*文献
(1)Owen Astrachan;Bubble Sort:An Archaeological Algorithmic Analysis. http://www.cs.duke.edu/~ola/papers/bubble.pdf
(2)Michael A. Bender,Martn Farach-Colton,Miguel A. Mosteiro;INSERTION SORT is O(n log n).http://paul.rutgers.edu/~mosteiro/FUN04.pdf
(3)安居院猛,中嶋正之;画像工学の基礎,昭晃堂,1986年.
(4)奥村晴彦;C言語による最新アルゴリズム事典,技術評論社,1991年.

うきもり・しゅういち
<筆者プロフィール>
浮森 秀一.信州大学大学院情報工学修士.NARTE EMC Engineer,コナミ技術研究所,カノープスでの16年間勤務を経て現在,オーディオ・ビデオ関連およびIT機器に関する製品開発,企画マーケティングから安全規格認証取得・工場検査まで行う総合コンサルタント.金田式DCアンプとアルプスの自然を愛すフリースタイル・スキーヤ.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日