磁界結合を利用した"ワイヤレスICE"を開発 ―― マイコンのデバッグ用I/O信号が不要になる

菅原俊彦,石黒仁揮

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2007年5月31日

 エミュレータは,マイコン・メーカ製と専業ベンダ製に分かれ,特徴,仕様ともにそれぞれの特色を出しながら開発されています.表1に示したように,それぞれのエミュレータには課題があります.オンチップ・デバッグ・エミュレータとフルバス・エミュレータは,おおむね補完関係にあります.

種 類 システムとの接続 主な特長 用途,課題
オンチップ・デバッグ・エミュレータ シリアル通信用コネクタ (1)専用シリアル (2)マイコン内蔵UART (3)JTAG利用 ・マイコンとの接続は,通信ライン数本  (1~7本)のみを使用 ・デバッグ機能は,ラン,ブレーク,ダンプなどの基本機能を装備 ・使用するマイコンは,最終製品に使うものと同じため,物理的な等価性が高い ・製品価格が安い(数千円~数万円) 用途 ・基本的なデバッグや評価に使用し,プログラマ1人に1台を配置する 課題 ・システムとの接続にコネクタが必要 ・デバッグ機能は,チップに内蔵する機能やコストとのトレードオフになるため,基本機能に制約されることが多い
フルバス・エミュレータ マイコン全端子を 接続するアクセサリ (1)SOP (2)QFP (3)BGA,CSP ・マイコンとの接続には全ピン(10~300ピン)を使用 ・デバッグ機能として,基本機能に加えて,条件指定のブレークやリアルタイム・トレース機能,カバレッジ,性能測定など,評価機能も装備 ・専用の評価用チップを使用する場合は,最終製品のLSIと物理的な等価性が異なる ・製品価格が高い(数万円~数十万円) 用途 ・トラブル対応や性能分析に使用し,開発チームに数台を配置する 課題 ・システムとの接続は,マイコン全ピンが接続アクセサリ経由となるため,信号伝送特性劣化や接触不良が起きたり,高額(数万円)になったりする場合がある ・デバッグ機能は豊富だが,実デバイスとの特性差異が発生したり,高額(数十万円)になる場合がある

表1 エミュレータの特徴と課題

 筆者らは,マイコン・メーカ製ツールとして半導体デバイスの性能や特長を生かしたツール開発を目指しています.さらなる改良版として,組み込みシステムそのものとの接続に必要なピン「ゼロ」を実現する要素技術,「磁界結合無線デバッグ・システム」を開発しています.

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