磁界結合を利用した"ワイヤレスICE"を開発 ―― マイコンのデバッグ用I/O信号が不要になる
ET2006のデモでは,時間の制約から,コイルの寸法やはり合わせ位置などの不統一と,無線プローブICのレジスタ設定による回路パラメータのチューニングが未完成であったため,頻繁にデータ化けが起きていました.
● 通信の信頼性を確保することが今後の課題
磁界結合無線デバッグ・システムの試作に成功し,基本的な性能を評価できました.今後は,ユーザの要望や設計課題をまとめ,さらなる改良を行う必要があります.
今回初めて磁界結合無線技術を用いたマイコンのデバッグ・システムを試作しました.課題は少なくありませんが,次に示すように比較的明確になっています.
・通信の安定性,信頼性の確保 (通信回路パラメータの自動調整)
・通信速度向上 (通信速度を500kbpsから100Mbpsに引き上げる)
・複数データ・コイルの並列搭載による通信
・LSIの搭載コスト(面積)の最適化
筆者らは2007年度も共同研究を進め,課題の解消を目指す予定です.実用化のめどがつけば,ユーザの反応を確認しつつビジネス戦略を検討し,他社(ツール・ベンダや半導体メーカ)を含めたマイコンの標準デバッグ・システムの一つになりうるように,完成度を高めることを考えています.
すがはら・としひこ (株)ルネサス ソリューションズ
いしくろ・ひろき 慶應義塾大学