磁界結合を利用した"ワイヤレスICE"を開発 ―― マイコンのデバッグ用I/O信号が不要になる
● クロックとデータ送受信信号を使ってデータ通信
パルス方式を用いた磁界結合デバッグ・システムの無線回路部のブロック図を示します(図9).本システムは,無線プローブからマイコンにデータを伝送するための送受信機,マイコンから無線プローブにデータを伝送するための送受信機,マイコン側から無線プローブにクロックを伝送するための送受信機の計3組の送受信機から構成されています.
左側のターゲットLSIと右側のプローブICの間で磁界結合による無線信号伝送を行う.非同期クロック・チャネル,同期データ・チャネル(アップリンク,ダウンリンク)により,双方向のデータ・チャネルが構成される.
まず,マイコンから無線プローブ側にデータを伝送する場合を例に,データ伝送の手順を説明します(図10).
送信機はクロックの立ち上がりエッジで送信データに応じたパルス電流信号を送信コイルに流す.送信データが'1'であれば正のパルスが,'0'であれば負のパルスが生成される.受信コイル端では,送信パルスの微分波形が電圧信号として誘起される.受信機に供給されるクロックの立ち上がりエッジで受信パルス波形の極性を検出し,比較器を用いてCMOS論理レベルに再生する.