「組込みスキル標準」を活用しよう ――目標や指標を持つことがスキルアップの近道に
ここでは,2005年5月に公開された,組み込みソフトウェア環境に従事する人材を対象とするスキル標準「組込みスキル標準(ETSS)」について解説する.今回公開されたものは一部ドラフト版も含んでいる(正式版が出そろうのは2006年春以降の予定)が,スキル標準がどういうものであり,どう活用できるのかを具体的に考えるための参考になるだろう. (編集部)
一般に組み込みソフトウェアは,厳しい条件のもとで開発されています.製品に最適なハードウェア構成とするため,ハードウェア仕様が多様になったり,実機が存在しない状態でソフトウェアを開発し,納期のぎりぎりの段階でやっと実機上でテストする,といったことがあたりまえに行われています.さらに,リアルタイム性やメモリ容量,消費電力などについて厳しい制約条件が課せられ,半年から1年といった短い期間で開発することがほとんどです.
これらの条件下で開発するには,ソフトウェアに関するスキルしか持っていないようでは対応できません.ハードウェアに関するスキルや,開発対象システム特有のスキルも必要です.大規模化,複雑化が進む組み込みソフトウェアにおいて品質問題が顕在化している昨今ですが,開発現場では人材の量も質も不足しており,乗り越えるべき壁は高い状態にあるようです(図1).