「組込みスキル標準」を活用しよう ――目標や指標を持つことがスキルアップの近道に
● ステップアップを意識できる「キャリア基準」
キャリア基準は,組み込みソフトウェア開発における職種を定義したものです(図4).九つの職種を定義し,ITスキル標準と同様に7段階のレベルを設定しています注2.ここで言う「レベル」とは,それぞれの職種がそれぞれの専門分野において,どの程度の経済的貢献や責任を担っているかを示すものです.
また,それぞれの職種に必要とされる具体的なスキル(スキル・セット)については,今回のドラフト版では定義していません(正式版の公開時までには定義する予定).
開発現場でキャリアが語られる場合,たいてい「プログラマ」→「システム・エンジニア(SE)」→「マネージャ」という程度の認識に留まっていることが多いように思います.組込みスキル標準では呼称と専門分野を定義することにより,それぞれの職種の専門性が明らかになり,それぞれの役割の重要性が評価されることが期待できると考えました.
そのため,今回のキャリア基準では,ソフトウェア・エンジニア,プロジェクト・マネージャといった基本的な職種だけでなく,より専門的な職種も定義しました.システム・アーキテクト,ドメイン・スペシャリスト,ブリッジ・エンジニア(コラム「ブリッジ・エンジニアとは?」を参照),サポート・エンジニア,QA(品質保証)スペシャリスト,テスト・エンジニア,プロダクト・マネージャがこれに該当します.
注2;ITスキル標準で定義している職種とレベルに対応させたため,レベルが7段階になった.なお,ITスキル標準ではレベル1~2を「エントリ・レベル」,レベル3~4を「ミドル・レベル」,レベル5~7を「ハイ・レベル」と定義している.組込みスキル標準(スキル基準)の4段階のレベルとの対応付けはまだできていないが,大まかには,エントリ・レベルがレベル1に,ミドル・レベルがレベル2に,ハイ・レベルがレベル3,4に対応する方向を考えている.正式な対応付けの作業は,キャリア基準の正式版の公開を目標に進める予定.
図4 キャリア基準
各職種のレベルとは,それぞれの専門分野において期待されている経済的貢献や責任のレベルを示す.