「組込みスキル標準」を活用しよう ――目標や指標を持つことがスキルアップの近道に
また,ITサービスを提供する人材に関するスキル標準としては,経済産業省が2002年12月に「ITスキル標準(ITSS)」を公開し,IT系企業で導入が進んできています.しかし,このスキル標準は組み込みソフトウェア開発特有のスキルを満たすものではありませんでした.
一方,技術者のコミュニティである「組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)」は,2002年からSESSAMEにおける教育カリキュラムを作成するためにスキル標準の策定を始めていました.既存の情報処理技術者試験のスキル標準やITスキル標準のソフトウェア開発関連職種の知識領域,国内外の知識体系やカリキュラムを参考に,スキル項目を定義する作業を進めていました.
経済産業省では,組み込みソフトウェアの開発力強化策の一つとして,組み込みソフトウェアに従事する人材を対象としたスキル標準の策定に取り組むことになりました(コラム「なぜ国がスキル標準を策定するのか?」を参照).SECの準備組織として結成された「組込みソフトウェア開発力強化推進委員会(準備会)」(SEC設立後は「組込みソフトウェア開発力強化推進委員会」として活動を継続)はSESSAMEのスキル標準を叩き台に検討を開始し,2004年7月にスキル標準の策定方針を公開しました.そして,パブリック・コメントを募集しつつ検討を進めた成果物を,2005年5月に「組込みスキル標準(ETSS)」として公開しました(3).