「組込みスキル標準」を活用しよう ――目標や指標を持つことがスキルアップの近道に
● ロードマップとしての「教育カリキュラム」
教育カリキュラムは,組み込みソフトウェア開発にかかわる人材を育成するために,どのような研修を用意すればよいかをロードマップとして示したものです(図5).研修コースの概要を定義したものであり,研修コースや教材そのものを提供するわけではありません注3.この教育カリキュラムはITスキル標準の研修ロードマップに対応しており,ソフトウェア開発全般にかかわる部分についてはITスキル標準のものを利用することを想定しています注4.
今回は,組み込みソフトウェア開発の未経験者向けの教育カリキュラムのみを作成しました.大学教育や企業の新人教育などで利用することを想定しています.
ITリテラシやコンピュータの基礎知識については,ITスキル標準の研修ロードマップにおける「IT基本1」,「IT基本2」の履修を前提に,組み込みソフトウェア開発に関する知識を三つの研修コースで提供します.
注3;具体的な研修コースや教材などは,第3者機関などが組込みスキル標準に準拠する形で提供することを期待している.詳細は未定だが,カリキュラムが組込みスキル標準に準拠しているかどうかを確認する必要性なども検討している. 注4;「パーソナル」と「ビジネス/インダストリ」という要素は,ITスキル標準の研修ロードマップで定義されているものである.「パーソナル」とは,業務を遂行する際に必要とされる人間性や精神面におけるスキルを意味する.「ビジネス/インダストリ」とは,その職種/専門分野において知っておくべき知識(とくに業界に特化した事象や業界特有の動向,法律,規則など)を意味する.
図5 教育カリキュラムのフレームワーク
「IT基本1」,「IT基本2」は,ITスキル標準の研修ロードマップに示されている研修コース群である.今回は,組み込みソフトウェア開発の未経験者向けに,この二つのコースに加えて「ET入門」というコース群を定義した.ET入門は,「組込みシステム技術」,「組込みプログラミング演習」,「組込みシステム開発プロジェクト型演習」の3コースを含んでいる.