「組込みスキル標準」を活用しよう ――目標や指標を持つことがスキルアップの近道に
2)キャリア基準
「キャリア基準」も上述のスキル基準と同様に,最適なプロジェクトを編成するために活用できます.スキル基準に比べて粒度は粗くなりますが,必要な人材について説明する際には,キャリア基準を使って職種名として提示するほうがわかりやすいでしょう.
開発作業を分業する際に,それぞれの専門分野を明らかにした職種として提示すれば,人材の専門性や役割を明確に示せます.プロジェクト・メンバがお互いに専門性を認め合うことで,開発を効率的に進められることでしょう.
また,マネージャとしては,プロジェクトの成功だけでなく,プロジェクト・メンバが個人としてスキルを伸ばせているかどうかも考慮するべきでしょう.このような場合に,組込みスキル標準を目標管理のものさしとして利用できます.必要なスキルを獲得できるように,それに適したしごとを割り振ったり,プロジェクト終了時にスキルやキャリアの向上状況をフォローして,次のプロジェクトに向けて指導する,といった運用が可能です.
3)教育カリキュラム
「教育カリキュラム」は,必要なスキルを身に付けてもらうための研修を実施する際に利用できます.ただし,研修で得られるものは,あくまでも知識にすぎない(実際の開発で身に付けたスキルとは異なる)ことに留意してください.例えば,開発現場でのジョブ・ローテーションや適切なOJT(on the job training)と併用することで,育成効果を上げていただきたいと思っています.