「組込みスキル標準」を活用しよう ――目標や指標を持つことがスキルアップの近道に
● 現場は技術者の育成支援を国に期待している
このように厳しい条件下にある組み込みソフトウェア開発ですが,最近では「産業横断的に利用され,国際競争力を持つ(左右する)日本にとって重要な産業」として認知されてきました.2004年,経済産業省は組み込みソフトウェアを政策として取り上げ,国内のソフトウェア・エンジニアリングを支援する組織「ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)」を情報処理推進機構(IPA)内に設置しました.そして,組み込みソフトウェア産業の実態調査を実施した結果(1),開発現場は技術者の育成や活用の支援を国に期待していることがわかりました.また,組み込みソフトウェア技術に関するスキル標準を保有している現場は,回答があったうちの2割以下であることもわかりました.
組み込みソフトウェア開発のスキルを測る基準としては,国家試験である情報処理技術者試験(区分:「テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム」)において,受験者に求めるスキル基準が定められています(2).しかし,試験そのものが高度なこともあってか,試験もスキル基準も有効活用されているとは言えない状況でした.