携帯電話に搭載される「D級アンプ」  ――LCフィルタが不要で高効率

滝川宏之

tag: 半導体

技術解説 2003年7月11日

 テレビ電話機能付き携帯電話にD級アンプICが搭載され始めています.こうした用途のD級アンプICは高効率でありながら,外付けのLCフィルタが必要ありません.ここでは,米国Texas Instruments社のD級アンプIC「TPA2005D1」の動作原理,およびD級アンプが携帯電話に利用できるようになった背景について説明します.また,機器の薄型化の観点から注目を集めているピエゾ型圧電スピーカの駆動方法についても述べます.  (編集部)

 今年(2003年)は,3G(第3世代)携帯電話サービスの普及が期待されています.このサービスが広がると,テレビ電話のように画面を見ながら話す機会が増えます.移動体通信事業者の中には,携帯電話端末(以下,端末と呼ぶ)について,スピーカを使った連続通話時間を明示するところも出てきているようです.そして,端末の連続通話時間を長くするため,電力効率の高いD級アンプに対する要求が高まっています(図1).ここでは,実際に3G端末に採用されている米国Texas Instruments社のD級アンプIC「TPA 2005D1」について紹介します.まず,本ICの概要を表1に示します.

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〔図1〕バッテリの寿命比較
ニッケル水素電池(1200mA/h)を使用し,1W出力のD級アンプとAB級アンプを連続動作させたときのバッテリ寿命を比較した.D級アンプは110.8時間,AB級アンプは47.4時間となり,バッテリ寿命に約2.3倍の差が生じた.

〔表1〕TPA2005D1の仕様

電源電圧 2.5V~5.5V
出力電力 850mW(モノラル,内部抵抗8Ω,動作電圧3.6V,THD+N=1%)
電力効率 84%(出力電力400mW)
消費電流 2.8mA(動作電圧3.6V)
電源リプル除去率 -71dB(周波数217kHz,リプル電圧200mV)
出力電圧ノイズ 48μV
パッケージ 2.5mm角のBGA,3mm角のQFN
備 考 入力から出力まで完全差動パス,シャットダウン機能(復帰時間9ms),外付け部品3点
組み込みキャッチアップ

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