携帯電話に搭載される「D級アンプ」  ――LCフィルタが不要で高効率

滝川宏之

tag: 半導体

技術解説 2003年7月11日

●放射ノイズは端末の動作にどの程度影響を与えるのか

 先ほど,LCフィルタが不要な理由として,無信号時のリプル電流が流れないことと,スピーカに矩形波を入れても問題がないことを説明しました.しかし,スピーカには250kHzの矩形波が出力されているので,ICから出力される電磁放射ノイズ(EMI:electro magnetic interference)が懸念されます.

 携帯電話ではTDMAやCDMA(code division multiple access;符号分割多重アクセス)などの変調方式の違いやキャリアの帯域の違いによって,電磁放射ノイズが問題にならないケースや,端末の受信感度に影響を与えるケースなどが報告されています.スピーカまでの伝送路の設計や周辺部品などによる影響も大きいことから,伝送方法とノイズのはっきりとした因果関係はわかっていません.しかし,携帯電話で利用する3V~4Vの電圧の場合,出力電力レベルが小さく,またICの出力からスピーカまでの距離が短いことから,放射レベルはそれほど大きくないと言えます.

 図11に,実際にこのICを使用して放射レベルを測定した結果を示します.測定には,写真1の評価ボードを使用しています.出力からスピーカまでを10cmのシールドしていないワイヤでつなぎ,リチウム・イオン電池の4.15V電源によって,8Ωのスピーカから750mWを出力させました.そして,FCC(Federal Communications Commission)規定のチェンバ(幅射ノイズなどのない実験室)で放射レベルを30MHz~1GHzでスキャンして測定しました.その結果,FCC規定のClass-Bの基準値を超えないということがわかりました.このことから,少なくとも外部に放射されるノイズのレベルは,規制の範囲内であることがわかります.

f11_01.gif
〔図11〕放射レベル
本ICを利用して,FCC規定のチェンバで放射レベルを測定した.出力とスピーカの間の距離が10cmであれば,フィルタを使わなくても規制をクリアできた.

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