携帯電話に搭載される「D級アンプ」  ――LCフィルタが不要で高効率

滝川宏之

tag: 半導体

技術解説 2003年7月11日

 通常の音声再生時の出力MOSFETの状態を図7に示します.+出力の"H"側と-出力の"L"側がONの状態と,-出力の"H"側と+出力の"L"側がONの状態の2パターンが存在します.いわゆる2値のディジタル値といえます.

 本ICの場合も,両出力が0Vから電源電圧までスイッチングする変調手法を採用しています.しかし,OUTPとOUTNは無入力時に相互に同相となります(図8).そして,正出力電圧時のOUTPのデューティ・サイクルは50%以上であり,OUTN出力は50%以下になります.同様に負出力電圧時のOUTPのデューティ・サイクルは50%以下であり,OUTN出力は50%以上になります.負荷にかかる電圧は大部分のスイッチング期間を通して0Vになり,スイッチング電流が激減し,負荷におけるI2R損失(抵抗性の損失)を低減します.

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〔図7〕 従来のPWM変調方式
従来のD級アンプのPWM変調方式には二つの出力状態が存在する.(a)は+出力の"H"側と-出力の"L"側がONの状態(出力が+側に振れている状態)である.一方,(b)は-出力の"H"側と+出力の"L"側がONの状態(出力が,-側に振れている状態)である.

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〔図8〕TPA2005D1のPWM変調方式の無音時の波形
本ICのPWM変調方式では,無音時の出力波形は+出力と-出力の位相が同相である.スピーカの両端の電圧はつねにほぼ0Vのため,スピーカにはほとんど電流は流れない.このため,スピーカに直結しても問題はない.

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